~最終章~「俺さ、牛鬼を見るといっつもあぁいう風になっちまうんだ。驚かせちまったな」アイは、アースに謝った。 「俺の両親はさ、あいつに殺られたんだよ。俺はまだその時、ガキデ何もできなかった。俺だけが助かってよ。そん時になんで俺も一緒に死ななかったのかって、今でも思うんだ」 言葉こそ軽いがアイの足元には黒いしみが点々とできていた。 「アイ・・・・・・・。」 アースはその場にたたずむことしかできなかった。 「アース、行こう」 しばらくして、やっとアイが口を開いた。 「うん」 二人はまた明るい話題へと話をかえ、夜営の準備をした。 「でさぁ、あいつもう俺達が死んでると思ってたりして」 「まさか。でも後もう三日くらいで逝くと思ってるかも。」 どうやらアースたちを煙たがっている先公のことらしい。 「もしかして、先行が仕向けたのかも」 笑いながらアイは言った。 その時アースはスゥ・・・・・っと頭が冴えていくのがわかった。 「そうか!そうだったのか!」 アースが突然大声を出した。 「何が?」 アイは少しを驚いていた。 「おかしいと思ってたんだ牛鬼がこんな食い物のほとんどない所で住めるはずないのにって・・・・・・。それなのに、あのサイズまででかくなれるほど、牛鬼の腹が静かにしてるわけがない」 アースは興奮しながらしゃべった。 「ってことはあの先公がしむけたと?」 アイも冴えている。 「そう。それ以外考えられない」 きっぱりとアースはそういった。 「そう言われてみればそうかも」 「だろ?」 アースは意気込んでいった。 「さて、そうとわかればあいつの教免、剥奪してやる」 「賛成!」 アイとアースは顔を見合わせた。 「んじゃ、ここらあたりのを手っ取り早く破壊しますか。」 「そうだな」 「オン・クロダナウ・ウン・ジャク」 アイは、真言を唱えた。 すると晴れていた空から突然、稲妻が落ちてきた。 ジュゥゥゥ~~~~ッ 唇がべたついてきた。 生き物が焼けるとその生き物の脂質が空気中を飛んで唇につくのだ。 「うぅ、気持ち悪ぅ~」 アイは呟いた。 「もっとマシなの無かったのかよ」 「これが一番てっとり速いんだよ。鳥枢沙摩明王(ウスシマミョウオウ)の真言が」 「はい、はい、そうかい」 「でもまぁ、いいんじゃない?お前何にもしてねぇし」 「そうだな」 このあと、上手くアイとアースが教免を剥奪できたのは言うまでもない。 END |